ハイパーカジュアルゲームの成長を支える要素の一つに、A/Bテストがあります。A/Bテストは、2つ以上のバリエーションを比較して、どちらがより効果的かを測る方法で、ゲーム開発やマーケティング(ユーザー獲得や収益化)において重要な役割を果たします。
本記事では、ゲーム開発とマーケティングそれぞれの視点から、A/Bテストの活用方法とその効果を分かりやすく解説します。
1. ゲーム開発におけるA/Bテスト
ゲーム開発の課題:プレイヤー体験の最適化
ハイパーカジュアルゲームの成功は、シンプルかつ直感的な操作性と短時間で楽しめるデザインに依存しています。しかし、何が「楽しい」と感じられるかはプレイヤーによって異なります。このため、仮説を立てて実際のプレイヤーにテストを行い、データに基づいて最適なゲーム体験を設計する必要があります。
A/Bテストの活用例

例1: チュートリアルのデザイン チュートリアルを「スワイプして障害物を避ける版」と「ジャンプする操作版」の2つでテストした場合、プレイヤーがスムーズに操作を理解できるのはどちらかを比較します。この結果、スワイプ操作の方が高いプレイヤー継続率を示した場合、そちらを採用することでゲーム体験を改善できます。
例2: レベルの難易度調整 同じレベルで敵の数を増やしたバージョンAとそのままのバージョンBを用意し、クリア率やプレイ時間を測定します。このデータを元に、バージョンAの方がプレイヤーの満足度が高いと判明した場合、全体のバランスを調整する指標となります。
効果
A/Bテストによってプレイヤーのリアルな反応を把握し、開発者の仮説が実際に効果的かどうかを検証できます。このプロセスを繰り返すことで、ユーザー満足度を高め、長期的なゲームの人気を支える基盤を作ることができます。
2. マーケティング(UA・マネタイズ)におけるA/Bテスト
マーケティングの課題:ユーザー獲得と収益の最適化
マーケティングでは、ユーザー獲得(UA)や広告収益化(マネタイズ)を効率的に行うことが求められます。どんな広告が最もユーザーを引きつけるのか、収益を上げるクリエイティブはどれかを判断するために、A/Bテストが用いられます。
A/Bテストの活用例

例1: 広告クリエイティブの比較 TikTok Adsで、動画広告A(ゲームプレイ中のスリリングな場面)と動画広告B(キャラクターが成功して喜ぶ場面)を配信します。それぞれのクリック率やインストール率を比較し、効果的な広告を特定します。
例2: 広告の配置 ゲーム内で「ステージクリア後に広告を表示するバージョン」と「リトライ時に広告を表示するバージョン」をテストします。この結果、リトライ時に表示する方が広告視聴率が高いと分かれば、収益性の高い配置に最適化できます。
効果
A/Bテストにより、データに基づいた意思決定が可能になり、マーケティング活動のROI(投資対効果)が向上します。また、細かい調整を繰り返すことで、広告のパフォーマンスや収益を継続的に改善できます。
A/Bテストを成功させるポイント

- 明確な目標設定:何を改善したいのか(例:継続率向上、CPI削減)を明確にする。
- 1つの要素にフォーカス:同時に複数の変更をテストすると、何が結果に影響したかが分かりにくくなります。
- 十分なサンプルサイズ:テスト結果が信頼できるものになるためには、十分なユーザー数を確保することが重要です。
業務の面白さ
A/Bテストの魅力は、「実験結果が目に見える形で現れる」点にあります。例えば、新しいクリエイティブを試してCTRが2倍になったとき、直接的な成果を実感できます。また、ゲーム開発者やマーケターとして、仮説を立てて検証し、結果を反映させるプロセスには創造性が求められ、試行錯誤の楽しさがあります。
