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19世紀、霧深きロンドンの裏路地を震撼させた、正体不明の連続殺人鬼「ライムハウスのゴーレム」。 その陰鬱で美しい世界観と、観る者の予想を鮮やかに裏切る衝撃の結末で、多くのミステリーファンを唸らせた傑作ゴシック・スリラー『切り裂き魔ゴーレム』(2016年)。
「犯人は誰だ?」という謎解きを楽しんだ後、その物語の奥深さに気づくと、この映画は全く違う顔を見せ始めます。 今回は、【超ネタバレあり】で、この傑作がもっともっと面白くなる4つの深掘りポイントを徹底解説! この記事を読めば、もう一度、あの薄暗いロンドンの劇場に足を運びたくなるはずです。
※未視聴の方は、必ず鑑賞後にご覧くださいね!※ 👇
まずはおさらい:『切り裂き魔ゴーレム』とは?(※核心ネタバレあり!)
- 公開年: 2016年
- 監督: フアン・カルロス・メディナ
- 原作: ピーター・アクロイド 小説『Dan Leno and the Limehouse Golem』
- 主演: ビル・ナイ, オリヴィア・クック, ダグラス・ブース
- ジャンル: ゴシック/ミステリー/スリラー/ホラー
あらすじ(結末まで!):
19世紀ロンドン。ライムハウス地区で残忍な連続殺人事件が発生し、犯人は伝説の怪物になぞらえ「ゴーレム」と呼ばれる。事件の捜査を担当することになったベテラン刑事キルデア(ビル・ナイ)は、容疑者リストに4人の男を挙げる。その中には、夫を毒殺した罪で絞首刑を待つ人気舞台女優リジー・クリー(オリヴィア・クック)の亡き夫、脚本家のジョン・クリーも含まれていた。 キルデアは、リジーの無実を証明すればゴーレム事件も解決すると信じ、彼女の半生を聞き取り調査する。しかし、物語の最後に明かされる真実は、ゴーレムの正体が、リジー自身だったという衝撃的なものだった。彼女は、自らの壮絶な過去への復讐と、芸術家としての名声を求め、一連の殺人を「舞台演劇」として実行していたのだ。そして、キルデアに真相を悟らせた上で、自らは夫殺しの罪で処刑され、ゴーレムとしての伝説を完成させるのだった。

【もっと面白くなる深掘り①】本当の怪物は誰か? 「ゴーレム」という名の多層的メタファー🤔
この物語の鍵である「ゴーレム」は、ユダヤの伝承に登場する、粘土から作られた人造人間です。この言葉は、劇中で実に多層的な意味を持っています。
- 大衆が生んだ怪物: 当初、犯人には名前がありませんでした。しかし、新聞や大衆が、その正体不明の恐怖に「ゴーレム」というレッテルを貼ることで、神話的な怪物が誕生したのです。

- リジーという自己創造の怪物: 貧困と虐待のどん底から、舞台女優へ、そして伝説の殺人鬼へと、自らの手でアイデンティティを創り上げたリジー。彼女こそが、自らを形成した「自己製のゴーレム」と言えます。
- 物語という名の怪物: この映画/小説自体も、日記、裁判記録、回想といった様々な断片を「粘土」として構築され、私たち観客/読者が「生命」を吹き込むことで完成する、一つのゴーレムなのです。
【もっと面白くなる深掘り②】映画と原作小説、リジーの“動機”の決定的違い📖✍️
本作をさらに深く理解する上で欠かせないのが、原作小説との比較です。特に、主人公リジーのキャラクター造形と犯行動機は、映画化にあたって大きく変更されています。

- 原作小説のリジー: 小説の中の彼女は、より冷徹で計算高い、自己愛的なサイコパスとして描かれます。彼女の殺人は、名声への渇望とサディスティックな興奮からくるものであり、同情の余地はほとんどありません。
- 映画版のリジー: 一方、映画では、原作にはない性的虐待を含む、男性たちからの長年にわたる過酷な搾取が描かれます。これにより、彼女の殺人は、虐げられた者による、悲劇的で壮絶な「復讐」という側面が強調され、観客が感情移入しやすい、より複雑で同情的なキャラクターへと変貌しているのです。
この脚色によって、映画は単なるサイコパスの物語ではなく、ヴィクトリア朝の家父長制社会で生きる女性の絶望と抵抗の物語という、新たな深みを獲得しました。
【もっと面白くなる深掘り③】マルクスにギッシング!? 史実と虚構が交差する面白さ🧐📜
本作のユニークな点の一つが、物語の中に実在の歴史上の人物が、なんと殺人事件の容疑者として登場することです!

- 思想家 カール・マルクス
- 小説家 ジョージ・ギッシング
- 喜劇王 ダン・リーノ
彼らが大英博物館の図書室で、リジーの夫ジョン・クリーと机を並べていたという設定。そして、キルデア警部補が彼らを尋問するシーンは、歴史好きにはたまらない面白さがあります。この「史実」と「虚構」を意図的に織り交ぜる手法は、物語にリアリティと深みを与えるだけでなく、「歴史とは何か?」「真実とは何か?」という、この映画のポストモダン的なテーマを浮き彫りにしています。
【もっと面白くなる深掘り④】切り裂きジャックの“プロトタイプ”? 1880年という時代設定🎬
物語の舞台は1880年。これは、ロンドンを震撼させた伝説の連続殺人鬼「切り裂きジャック」事件(1888年)の、わずか8年前です。

この年代設定は、単なる偶然ではありません。「ライムハウスのゴーレム」は、まさに切り裂きジャックの「プロトタイプ(原型)」として描かれているのです。貧困、メディアの扇情主義、大衆の覗き見趣味…切り裂きジャックという伝説を生み出した社会的土壌が、この時代にすでに存在していたことを、この物語は示唆しています。真の怪物は、一人の個人ではなく、ロンドンという都市そのものが持つ病理なのかもしれません。
エウレカ的視点💡:「信頼できない語り手」と、観客を欺く構造の美学🎮
私たちゲーム開発者にとっても、『切り裂き魔ゴーレム』の物語構造は非常に刺激的です。
- 信頼できない語り手: 物語の大部分は、リジーの「回想(フラッシュバック)」を通して語られます。私たちは、キルデア警部補と共に、彼女の悲劇的な物語に同情し、引き込まれていく。しかし、その語りそのものが、真実を隠蔽するための巧妙な「パフォーマンス」だったと最後に明かされるのです。
- 叙述トリックの応用: このように、プレイヤー(観客)が見ているものが、必ずしも客観的な事実ではない、という「主観的な物語体験」は、ゲームシナリオにおいて、プレイヤーに衝撃を与え、物語を能動的に考察させるための非常に強力なテクニックです。
- 世界観構築の力: ゴシックで退廃的なヴィクトリア朝ロンドンの雰囲気作りも見事。美術、衣装、音楽が一体となって、プレイヤーをその世界に完全に没入させています。
まとめ:もう一度観れば、その“芸術的”な殺意に震える。🔪🎭
『切り裂き魔ゴーレム』をさらに深く楽しむための4つのポイント、いかがでしたか?😊
- 「ゴーレム」という言葉に込められた、多層的な意味
- 原作とは異なる、リジーの悲劇的な「動機」
- カール・マルクスも容疑者!? 史実と虚構の交差点
- 切り裂きジャックを予言する、時代設定の妙
これらの背景を知ってからもう一度観ると、この映画が単なる猟奇殺人ミステリーではなく、名声、ジェンダー、歴史、そして物語の本質そのものを問う、知的で芸術的な傑作であることが、より一層深く理解できるはずです。
ぜひ、この週末にでも、新たな視点でこの陰鬱で美しい悲劇の舞台を、もう一度観劇してみてください。きっと、その巧妙な作りに、改めて感嘆することでしょう。
それではまた、エウレカブログでお会いしましょう!👋

















